講義内容 | 導入講義~オリエンテーション |
日時 | 2024年07月30日(火)13:30~16:30 |
会場 | 天草市複合施設ここらす 多目的室AB |
地域課題をビジネスで解決する「あまくさ未来創造スクール4期」がスタートしました。
「あまくさ未来創造スクール」は、主催である天草市と熊本大学熊本創生推進機構、連携・協力機関である金融機関や後援となる商工関係団体が「産官学金」一体となり、CSVの醸成、ローカルイノベーターの創出を目指す取り組みです。今年度は15名の塾生が、令和7年3月までの約9ヶ月、様々な講義を通じて、自らのビジネスを考え、修了式において発表します。
第1日目となる今回は、オリエンテーションとしてスクールのイメージ共有を行い、データから見る天草市の課題や地域の現状、修了生の目指すべきゴールについて共有を行いました。
講義後半には、地方創生概論①②をテーマとして先進地として本スクールと同様の塾に取り組む和歌山県田辺市の「たなべ未来塾」修了生の取り組み事例を用いて、地域課題を資源として変えている事例やコミュニティが武器として活用されている事例を学びました。
■担当課長挨拶【産業政策課長:勝木覚】
本市の人口減少や少子高齢化など地域の課題や現状を知っていただき、企業の強みや地域資源を生かして新たなビジネスを創出していただき「地方創生」を実現するために民間主導、民間が作る強い地域づくりを目指しております。
このスクールを通じ、この場にいる4期生及びスクール修了生として活躍する36名の修了生の幅広い人材ネットワークを築いていただき、地域に根差した新しい事業を作っていただくことを期待しています。
1人2分間で自社の取り組みや課題の共有、地域との関り方や将来的な企業の在り方について自己紹介を行いました。多種多様な異業種が参加する中で自社の課題を共有することにより、企業課題の解決や新たなビジネスのヒントとして受講生同士のコラボに期待することができました。
■導入講義「あまくさ未来創造スクール」イメージの共有【産業政策課:井坂雄兵】
本格的な講義に入る前のオリエンテーションとして、「あまくさ未来創造スクール」の概要や考え方について共有しました。
様々な地域課題に対しては、ビジネスの視点で解決に取り組む「CSV」(Creating Shared Value=共通価値の創造)の考えが重要で、地域で出来る小さなビジネスが注目されています。これからの講義を通して、塾生のみなさんには国の動向や社会情勢を十分に把握しながら、人口減少から生じる様々な地域課題(子育て、高齢化、後継者不足など)を知り、自身の本業を活かしてどのような地域課題が解決出来るかを考え、解決に向けた取組を見つけてくれること期待しています。
そして、未来創造スクールでは、市内外の講師やこれまでの修了生から学ぶに当たり、
・何をすれば自社が生き残れるか |
・自社の強みを知る(自身の特技は何か) |
・自社のある地域のことを知る |
これを常に意識して、講義やディスカッションに臨んでいただきたいと思います。
■アイスブレイク~対話の練習【熊本大学 熊本創生推進機構 客員准教授:鍋屋安則】
皆さんが今まで受けてきた講義は聞くだけの講義が多かったと思うが、このスクールでは対話を取り入れた講義をしていく。討論ではない。
討論=勝った?負けた?みたいな状況
対話=みんなで答えを探していく、新たな価値を生む
対話(≠討論)のルールを守りながら楽しい場を目指す。
(1)耳を澄ませて聴く (2)否定も断定もしない (3)答えは一つと思わない
(4)アイデアをつなげる (5)心の変容を自分自身に許す
〈 対話の練習として、アイスブレイクを実施 〉
対話のテーマ | 子供の頃、やりたいと思っていた仕事は? |
備考 | 個人ワーク後、班ごとにディスカッション |
■講義「地方創生概論①」~地域課題が地域資源に変わる!~
【熊本大学熊本創生推進機構 客員准教授:鍋屋安則】
本日考えてほしいこと
地域と企業の共通価値とは?(どうすればWin-Winの関係性を構築できる?)
地域と企業の共通価値とは何かを「たなべ未来創造塾」の事例を用いて学ぶ
ColoGraphical 竹林さんの事例(田辺未来塾1期)
虫食い材(あかね材)に光を!「BokuMoku」プロジェクト
あかね材を活用したブランディングの事例として、輸入材の進出や1981年のピーク時に比べ木材価格が1/4に下がっていることに着目。輸入材が増えることにより木材が売れなくなる、林業従事者が減り枝打ちされないことであかね材が増加。見た目が悪いので売れない・・・。売れないから山から人が離れる悪循環の地域課題を解決。
あかね材の値段を下げずに価値をつけて高く売るために、虫食いの箇所に蛍光塗料を塗る、これがデザインになり木材のありのままの姿を伝えることができる。そして商品が売れることにより熊野の山を伝えることができる。このプロジェクトをデザイナーや家具屋、林業従事者など様々な関係者と協力しながら実施している。
岡本農園 岡本さんの事例(田辺未来塾1期)
農人と森の番人プロジェクト~僕らの畑は僕らで守る!
岡本さんが暮らす日向地区でも地域の担い手不足による耕作放棄地の増加、深刻化する鳥獣害被害、農作物の不安定収入など様々な課題が引き起こっており、それが負のスパイラルになっていました。
これまで防護柵などで畑を守っていましたが、鳥獣の数を減らさないと抜本的な解決にならないと考え、地域で若手農家を集め狩猟を開始。年間数百頭もの捕獲に成功し地域から被害がなくなったと感謝されるように・・・しかし、当時解体処理施設もなく捕獲した鳥獣の命を奪い、無駄にしてきたことに気づかれました。この気づきから「向き合う命を無駄にしない活動」を行うために食肉加工場を建設し、捕獲から加工、販売までを行う活動へ取り組みを広げられました。
全国に600~700あるジビエ施設の約8割が赤字の中で、しっかりと経営を維持されています。その理由として猟師の方と連携して高品質の肉を確保しながら、取り扱うジビエの良さを知ってもらうための普及活動や催事を行うことによって、県内外に60ヶ所もの販路となる出口を確保しています。
他にも、老舗のうなぎ屋が地域の梅農家を守りながら自社の価値を上げる取り組みに挑戦された太田商店の太田さん(田辺未来塾3期)など様々な事例が紹介されました。
■講義「地方創生概論②」~コミュニティが武器になる~
【 熊本大学熊本創生推進機構 客員准教授:鍋屋安則 】
andiamo土井さんの事例(田辺未来塾5期)
料理人として美味しい料理を提供することやコストパフォーマンスを良くすることはしないといけないが、他のお店にはない新しい価値を見出す必要がある。
注目したのが出生率の低下。二人目を産みたくても産めないお母さんが多いのではないか?その理由の一つに子育てに不安を抱えるお母さん。みんなで子供を育てる共助を作ることができないか・・・
曾祖母がもっていた公園に隣接している空き家を活用。子育て中のお母さんが気軽に行けるイタリアンを作りたい。1階にお母さんが繋がる飲食スペースを設け、2階にキッズスペースを完備。お母さんが出店でき、ママと子供が楽しめるマルシェを近くの公園で開催することでママコミュニティの拡大を目指す取り組みへ繋げています。
自助・公助・共助という言葉があるが、今一番大事なことは「共助」みんなで子供を育てる社会をどう作っていくのかが大事。それを持続可能な取り組みにしていくためにビジネスの視点で考える必要がある。
他にも健康な子供を育てることで、地域と企業がWin-Winとなる取り組みを目指しているスポーツ用品店を営む坪井さん(田辺未来塾4期生)の事例などが紹介されました。
■グループディスカッション